麻薬取締法違反の疑いで逮捕された沢尻エリカ容疑者(33)を人気女優に押し上げた05年公開の映画「パッチギ!」を手掛けた井筒和幸監督(66)は17日、日刊スポーツの電話取材に「留置場に行って、あほんだら! と言いたい」と嘆いた。

「パッチギ!」は京都を舞台に、日本人の少年と、在日コリアンの少女との恋を描いた作品。沢尻容疑者は数々の映画賞で新人賞を獲得し、一躍、人気になった。沢尻のほかにも、塩谷瞬、高岡蒼佑、小出恵介ら若手俳優が活躍した。井筒監督は、出演俳優、スタッフを「卒業生」と呼び、活動を気に掛けてきた。

「4年前、私の誕生会があって、卒業生やスタッフが、20人くらい集まった時、エリカも来ましたよ。ボーイフレンド連れて。おい元気かよ、って聞いたら、けなげに『お仕事頑張ります』って話してました」と振り返った。

一緒に来た恋人の印象については「誠実な子でした。でも、その後別れちゃったみたい。あの子と一緒だったら、今回のようなことにはならなかったかもなあ」と話した。

一部卒業生のその後には、不祥事や離婚、暴力事件など、心を痛める出来事もあった。井筒監督は「バカやってたりするから、どうかみんな真面目に俳優業に精出してくれよ、と思ってました。そこに今回のこと。(逮捕の報に)びっくり仰天、青天のへきれき、ぼうぜんとするしかなかった」と話した。

沢尻容疑者の仕事への取り組みぶりに関して、井筒監督は「気丈で、プレッシャーなんてはねのけて、楽しむような子だった」と言う。来年のNHK大河ドラマや、CMなど順調な仕事ぶりに安心していたそう。井筒監督は「これからいい時で、いい仕事やり始めたところ。その分、仕事に猛烈なストレスを感じてたのかな…。うちらの仲間と付き合っていれば、『何やっとんねん!』と言ってあげられたのに、情けないですね」と残念がった。

井筒監督は「オリの中で自分を見つめなおす時です。自分をしかって猛省してほしい。罪を反省して、また日が昇る時が来る。そうなったら激励、叱咤(しった)して、映画の役があればオファーしたい。卒業生ですから、いの一番に助けてあげたいと思ってる」と、厳しさと愛ある言葉を投げかけた。