ロシアの新たなドーピング不正発覚を受け、世界反ドーピング機関(WADA)は9日の臨時常任理事会で同国選手団を東京五輪・パラリンピックから除外する処分案を諮る。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は5日、WADAの決定に従うのは「IOCの義務だ」と言及。スポーツ大国に厳格な処分が下される可能性が高まった。

WADAは昨年9月、モスクワ検査所の保管データ提供を条件にロシア反ドーピング機関(RUSADA)の資格停止を解いたが、年末の提出期限に遅延。その間に改ざんの暴挙に出ていたことが判明した。日本や米国など各国反ドーピング機関が加盟する国際組織は5日の声明で処分案を支持し「ロシアは浅はかな行動から学ばず、学ぶ気もない」と切り捨てた。

2016年リオデジャネイロ五輪ではロシア選手団の全面除外を求めたWADAの勧告にIOCが従わず、各国際競技連盟(IF)に判断を委ねた。IOCは弱腰と批判され続けてきたが、状況は変化している。WADAは昨年に新基準を設け、規定を順守しない国を主要大会から排除できるなど権限を強化した。

処分案は、22年北京冬季五輪・パラリンピックや世界選手権を含む主要大会からロシア選手団を4年間締め出し、18年平昌冬季大会と同様に潔白を証明した選手のみ個人資格で出場を認める。大会の開催や招致、国旗の使用も4年間禁じる。

処分決定から21日以内にRUSADAが異議を申し出れば、最終判断はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に委ねられる。ロシア側の抵抗は必至で、完全決着はまだ先になりそうだ。(共同)