西へ東へ、海へ川へと旅して釣りする太公望たちの奮闘記です。魚との知恵比べ、釣った魚で一杯……。目的は人それぞれながら、闘いの後の心地よい疲労と旅情は格別。今回は、朝日新聞の西田健作記者が、ヒラメの大物を狙って茨城県大洗町から船釣りに出ました。
厳寒の海へ、うまい魚を求めて
寒い冬。私も含む釣り人はなぜ、こんな季節に厳寒の海に繰り出してしまうのでしょうか。漁師でもなく、趣味なのに、お金まで払って。人それぞれに理由はあると思いますが、私なら間違いなくこう答えます。それは、「冬の魚は、うまいから!」。
特にヒラメは肉厚になり、脂ものって、味が落ちる夏とは段違い。ムニエルにすれば、フワッフワの身が口の中でとろけます。水温が下がるとヒラメの活性も下がって釣るのが難しくなるのですが、それも覚悟の上。大ヒラメを求めて、先月、茨城の大洗港まで行ってきました。
遊漁船と職漁船がずらりと並ぶ大洗港
釣友の長野剛さんの車に乗せてもらい、暗闇の中、都心から約130キロほど離れた目的地に向かいます。太平洋に面し、水戸市と隣接する大洗町は、年に何度も釣りに来るお気に入りの町。高校の部活で女子生徒が茶道ならぬ「戦車道」を追究する不思議なアニメ「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」の聖地としても知られていて、今でも町中にアニメのキャラクターの看板がある、ちょっと変わった町でもあります。
この日お世話になったのは、船宿「弘清丸(こうせいまる)」さん。集合時間は午前4時30分。「さ、さむい」。車から降りるとき、「何で、こんな時期に釣りに来てしまったのだろう」といつも後悔します。でも、いざ釣り船に乗り込むと一気にハイテンションに。これもいつものことです。限られた魚を奪い合う遊漁船での釣りは、同船者みんながライバル。気合で負けてはいられません。
解禁直後の大ヒラメを夢見て乗船した釣り人たち
真っ暗な港から、船はゆっくりと沖に出て、次第に加速。ドドドドド、とディーゼルのエンジン音をテンポ良く響かせて1時間ほど。ポイントに到着したようです。水深は30メートル。まだ日の出前ですが、船長の合図と共に、この日の釣りが始まりました。
待てども、待てども、アタリなし
ヒラメ釣りの胴付き仕掛け。マイワシの口に親針を刺す
ヒラメ釣りは、生きたマイワシを餌にします。上あごの硬い部分に大きめの親針を刺し、背中か腹の部分に小さな孫針を刺すのが基本形。マイワシを海底近くに送り込み、ヒラメが大きな口を開けてかじりつくのを待つんです。
釣友の長野剛さん(手前)とともにアタリを待つ
でも、この日は渋かった。待てども、待てども、一向にアタリがありません。けれども、この日は気持ちに余裕がありました。10年近く続けているヒラメ釣りで、1匹も釣れなかったことは1度もなし。昨年、大苦戦したマダイとは違います。
「きっとそのうち釣れるはず」。そう思って気長に待っていたら、グググっと来ました。姿を現したのは、ブリの幼魚のワカシ。でも、大丈夫。ヒラメさえいれば、そのうち釣れるはず。
まずはブリの幼魚のワカシが釣れた
ヒラメ釣りのコツは、いかにマイワシを弱らせないか。鱗(うろこ)がはがれないように、桶(おけ)から手ですくうときは軟らかく、釣り針を刺すときは素早く。錘(おもり)と共に海底に送り込むときは、ゆっくりと。泳ぎ回るマイワシこそが、ヒラメの食い気を誘うからです。
唯一の快調な釣り人、その理由は……
釣り開始から3時間。この日の船には20人余りが乗り込みましたが、みな、さっぱりアタリがありません。なのに1人だけ、次々と竿(さお)を曲げる釣り人がいました。竿はロッドホルダーに置きっぱなし。それなのに、竿を持ってあの手この手で誘いをかけるほかの釣り人では無く、なぜかその置き竿にヒラメが食ってくるんです。まさに、1人勝ち。思わず、長野さんと苦笑い。何が、違うのか。大ども(最後尾)のその釣り人の仕掛けを凝視すると、強力な青い集魚ライトと、キラキラと光る集魚板を使っていました。
なぜかこの日は大ども(船尾)の釣り人にアタリが集中。筆者の竿にはアタリがない
まねたい。でも、あいにく、青い集魚ライトはなぜか序盤で故障してしまい、大きな集魚板も持ってきていません。釣りの残り時間はあと1時間余り。なりふり構ってはいられない。一つだけ赤いライトを持っていたことを思い出し、錘の近くに取り付けて、勝負、勝負。
すると、すぐに、グググ、グググ、と来ました。でも、ここであわてて竿を立てて合わせてはだめなんです。マイワシにかみついたヒラメが、魚を丸のみするまで待たないと、ヒラメの口に針がかかりません。グググググググ、グググググググ。ついにマイワシを飲み込んだみたい。千載一遇のチャンス。今だ!
かかった! でも釣友と「お祭り」の危機
しっかりと合わせをいれて、隣の長野さんに「かかった!」と、満面の笑みで告げてから、リールを巻き始めると、なぜか、長野さんも「僕も!」??
リールを巻くと、魚の重みが時々無くなったり、再び重くなったり。この感じだと、2人のうちどちらかの針にヒラメがかかっていて、もう一方の糸を巻き込んでいるようです。いったい、どちらの針が刺さっているのか。
最後の最後に釣れたヒラメ。おでこにならずにほっと一息
不安な気持ちでリールを巻き続けると、ついに、ヒラメは海面からタモへ。スポーツのビデオ判定のような気分で、ヒラメの口元を凝視すると、刺さっているのは私の方の針でした! 長野さん、すみません。でも、これで原稿が書けます……。50センチ弱、1.5キロ弱の標準サイズ。大ヒラメとはいきませんでしたが、連勝記録も途切れなくて良かった!
何とかお土産を確保し笑顔の筆者
ちなみに長野さんはだいぶ前に1匹釣っていたので、2人で仲良く1匹ずつを手にすることができました。
下船後は日帰り温泉「潮騒の湯」で疲れを癒やす
フワッフワのムニエル! 刺し身もたらふく
ヒラメは氷で冷やして大事に持ち帰り、5枚おろしにしてムニエルに。ニンニクで香りをつけたオリーブオイルで、ヒラメの皮目をカリッカリに焼くのがわが家流。バターを溶かせば、完成です。冬のヒラメはやっぱりフワッフワ。
肉厚のヒラメはムニエルに
ヒラメの刺し身もおなかいっぱい食べて、大満足の夕食となりました。
新鮮なヒラメはやっぱり刺し身に(左)。ワカシもうまい
厳寒のなか、最後の最後で帳尻を合わせることができたヒラメ釣り。やっぱり相性がいい! 釣りに行ったのは2019年ですが、2020年の1月に、このコラムで幸先のよい報告ができました。今年もいろいろな魚に挑戦していきたいと思います。みなさん、2020年もよい釣りを!!
弘清丸
https://koseimaru.jimdofree.com/
029-267-3420(予約)
PROFILE
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釣り大好きライター陣
安田明彦、猪俣博史、西田健作、石田知之、木村俊一
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西田健作
朝日新聞記者
1971年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。15年ほど前に千葉県浦安市に引っ越し、ディズニーランドのすぐ近くで魚が釣れることを知り、釣りにはまる。朝日新聞社では文化くらし報道部で美術担当、映画担当などを務め、現在は同部次長(デスク)。外に出られない平日のモヤモヤから、ますます週末の釣りにのめり込んでいる。
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January 21, 2020 at 09:17AM
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