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福島県沖「対象魚種拡大」本格操業に期待 課題は漁獲量、流通 - 福島民友

 東京電力福島第1原発事故から8年10カ月が経過した中、本県沖で漁業の試験操業が続いている。今年も7日以降、相馬双葉、いわき市など各漁協で水揚げが始まった。原発事故直後は全面的に操業が自粛されたが、試験操業の対象魚種は徐々に増え、現在は海産物の国の出荷制限対象はコモンカスベ(カスベ)のみ。各漁協は試験操業から"本格操業"への移行を見据え、慎重に検討を進めている。

 ◆◇◇より厳しい基準

 「(原発事故から)もう8、9年がたっている。本格操業への議論に入っていいところに来ているのではないか」。昨年9月、県漁連の復興協議会で相馬双葉漁協の菊地昌博副組合長が提案した。県漁連内でこれまで"本格操業"とは何を意味するかが定義されておらず、試験操業が拡大される中、本格操業の検討に一石を投じる形になった。

 操業日数や規模を限定し、操業と販売を試験的に行う試験操業は震災翌年の2012(平成24)年6月に相馬双葉漁協がいち早く始めた。13年にはいわき市漁協も開始。本県沖のみの操業として、第1原発から半径20キロ圏内と他県海域では自粛していた。現在、試験操業海域は第1原発から半径10~20キロ圏にも拡大され、本県沖のほとんどの海域で漁が行われている。

 本県沖で採取される魚介類は、放射性物質のモニタリング検査が行われている。県漁連は国の基準値(1キロ当たりの放射性セシウム100ベクレル以下)より厳しい自主基準値(同50ベクレル以下)を設定。国の基準値の半分の数値を目安とすることで、安全管理対策に万全を期してきた。

 ◇◆◇出荷制限1魚種

 県のモニタリング検査で、11年は全検体数1952のうち778検体(39.9%)が100ベクレルを超えた。12年は5578検体のうち924検体(16.6%)、13年は7549検体のうち283検体(3.7%)と、国の基準値超えの海産物の割合は減少し、最後に確認されたのは15年の4検体。

 これとは別に県漁連による試験操業での検査では、16年8月に出荷制限が解除されていたコモンカスベが昨年1月に161ベクレルを検出し、再び出荷制限となっている。

 18年は4010トンで、震災前の10年比で15.5%。対象魚種の拡大に伴い年々増えてはいるが、震災以前の水準には程遠い。魚種や海域が回復し、さらに安全性も担保できる環境となってきただけに、漁業者には本格操業への期待感がある。

 本格操業に向けた課題として、漁獲量の拡大や流通体制の再構築などが挙げられている。漁獲量拡大としては、相馬双葉漁協の一部の底引き船が昨年12月からいわき市沖でも操業し、小名浜魚市場に魚を揚げるようになった。同漁協の立谷寛治組合長は「ほぼ全域で漁ができることは大切だ」と話す。

 ◇◇◆処理水議論「注視」

 出荷先も回復傾向にある。試験操業の開始当初は県内だけでの流通だったが、現在は約40都道府県に拡大。しかし、操業日数が限られるため流通量が安定せず、販路回復の足かせとなっている。また県漁連によると、県外産との価格差がなくなりつつあるが、根深い風評の影響もあり、県産の魚を購入しない業者もいるという。それだけに第1原発で増え続けるトリチウムを含む処理水の処分方法を巡る議論に、漁業関係者は神経をとがらせる。

 県漁連の野崎哲会長は本格操業に向け「場所や魚種ごとに操業を分けることも考えられる」と話し、モニタリング検査についても「出荷制限魚種がなくなっただけで、検査体制は崩すつもりはない」との考えも示している。今年の漁獲量について「震災前の35%ほどまでの回復を目指したい」と見込む野崎会長。第1原発から半径10キロ圏内の海域での操業など検討課題も多いが、漁業の復興に向け着実に歩を進める。

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January 19, 2020 at 07:11AM
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