■福岡市立福翔高等学校校長・谷本昇氏が語る
学習との相乗効果があると考え、2018年にコンピューター部内の活動としてゲーム対戦競技「eスポーツ」を始めた。部活動内でやるのは少しでも早く生徒に体験させたかったからだ。新しい文化を伝えるのも学校の役目。キャリア教育の一環とも位置付けている。
【会話増える変化】
本校は1対1の対戦ではなくチームゲームに取り組んでいる。メンバーで話し合って戦略を立てる。コミュニケーションが苦手だった部員もいたが、eスポーツで会話は増えた。
コンピューター部は情報処理技術を学んで検定を受ける。eスポーツをしても部活動の時間は変わらない。前半は情報処理を勉強して、後半にゲーム。情報処理の勉強時間は短くなった。限られた時間をどう使うか。その工夫を部員自身が生み出している。
eスポーツがフィジカルスポーツと同じだと思うことは多い。大会への出場とそこでの勝利を目指す。部員が一緒に練習して悩む。文化部ではなかなか味わえない、勝った時の一体感もある。教員も含めた学び合いも生まれた。他校の同世代の生徒に指導に来てもらった時は、教えられる側と教える側の両方にとって良い刺激になった。
学校の文化祭のクラスマッチにも取り入れた。1対1のサッカーゲームにクラスから代表1人を出して予選をやり、文化祭当日に決勝。講堂の大きなスクリーンを約1000人が見守った。フィジカル系のクラスマッチと変わらず盛り上がり、クラスが一体となった。違ったのは1年生が3年生に勝ったり、サッカー部員でもリアルでは控えの生徒が勝ってヒーローになったりしたこと。これまでなら考えられない、多くのドラマがあった。クラス、学年の垣根を越えた会話が増えた。
【社会でどう使う】
学校でのeスポーツに、いろいろな意見があるのは当然。新しいことに全員が賛成することはありえない。私が関係者に伝えたことは、まず見守ってくださいということ。子どもの姿を見てほしい。ゲームには負の面もあるが学校は両面を教えられる。本校は情報モラル教育も徹底する。
勉強に関係ないことはダメと抑える指導はしやすい。しかし現実、ほとんどの生徒がスマホを持って入学し、何らかの形でゲームをする生徒は少なくない。今後の社会はeスポーツをどう使うかということだろう。(福岡市南区野多目5の31の1)
日刊工業新聞2020年2月24日
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February 24, 2020 at 04:00AM
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