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【釣りと本】僕の釣りはマッカチン、つまりアメリカザリガニから始まった。スルメの脚にタコ糸を結んで子供のころ誰もがやる野遊びだ。オジに連れられ海、川にも出かけ“好きになる芽”は植え付けられた。しかし、学生時代、社会人になっても他の遊びに目がくらんで現場から足が遠のいた。時折覚える渇きを癒やしてくれたのは本だった。心に残る書が何冊かある。(スポニチAPC・町田 孟)
【開高健】
「完本私の釣魚大全」(文芸春秋社)
本業の息抜きから始めた釣りにのめり込むさまがよく分かる。月刊誌「旅」に連載されたエッセーを大幅加筆して単行本化。一度絶版になったが再版された。釣りの魅力だけではなく遊び心のテキスト。
「フィッシュ・オン」(朝日新聞社、新潮文庫)
ルアー、フライの面白さと、キャッチ&リリースを広めることになった伝説の書。豊穣(ほうじょう)な言語、圧倒的な知識。ユーモアを交ぜた語り口にぐいぐいと引き込まれる。1971年初版のハードカバーは秋元啓一カメラマンの写真が“大胆素敵”で新鮮。「オーパ!」の原型といえる。
「オーパ!」(集英社)
一世を風びしたシリーズ。本気で遊ぶ姿は好奇心の塊、いや鬼だ。アマゾン川に棲息するピラルクーの存在を世間に知らしめる役目も果たした。さらに「食う」ことに関する圧倒的なエネルギーは食通、グルメといった薄っぺらな称号で片づけられない凄みがあり“食の王様”だ。時折交ぜるお色気フレーズにもニンマリ。高橋曻カメラマンの写真とも相まって壮大なグラフィック紀行文だ。芥川賞作家としての顔とは違い、素の部分がのぞける文章が輝いている。
【高橋治】
「秘伝」(講談社文庫)
直木賞作品。大ウソを仕掛けた。障がいを持つ2人の老漁師が互いの経験と業を駆使して巨大イシナギに挑む人間ドラマである。いよいよクライマックス。怪物に瞬きをさせてしまう。本来、魚にはまぶたがない。
「つれ釣れなるままに」(筑摩書房)
各地に残る伝統釣法を紹介しながら、海を汚すマナー違反に怒りをあらわにしている。釣りに対しての姿勢も厳しく、釣らんかなばかりの風潮を嘆く。魚とできるだけ対等に渡り合おうとする姿勢に武士の背中を感じる。作家になる前の松竹時代、日本初の水中撮影のリーダーを務めたことも書かれていて興味深い。
【夢枕獏】
「愚か者の杖」(徳間書店)
5大陸釣行記。同書店の「食楽」に連載したものをまとめた。自らを下手と認め、弱者の視点から釣りを見つめる。底流には技術うんぬんより釣りをいとおしむ心が込められている。そして「釣りというのは、釣れるまでの間・つまり釣れない時間を楽しむ遊びである」と悟る。
【鈴木智彦】
「サカナとヤクザ」(小学館)
反社会集団の巨大資金源になっている「密漁」を取材。三陸のアワビ、北海道のナマコなど高級食材をせしめる現場に潜入。体を張ったハードボイルドルポはスリリングだ。と同時に人ごととは思えない流通の怪しさをも突いていてがく然。
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June 11, 2020 at 05:37AM
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