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筆者が毎年「夏」と聞いて連想してしまうのが「釣りゲーム」だ。とはいえ,なぜかニッチという印象が強く,アウトドア系のゲームジャンルでは,サッカーやレースといったスポーツ系だけでなく,農業シムの陰にさえ隠れてしまいがちなジャンルでもある。しかし,ここ数年,そんな二ッチ市場でトップを目指そうという挑戦的なゲームがいろいろと登場してきた。今回は,そんな釣りゲームにスポットライトを当ててみたい。
釣り人口は多いはずなのに,
なぜかニッチな釣りゲームジャンル
祖父母が島根県の隠岐の島に住んでいたこともあり,子供の頃,夏休みに遊びに行った筆者は,よく釣りを楽しんだ。堤防の先や岩場から投げ釣りをすれば,チヌやカサゴ,サバなどが食いついてくるので,子供だった筆者は,釣りは楽しくて簡単,魚なんてすぐ釣れると思い込んでいた。やがてアメリカで生活するようになったわけだが,カリフォルニアの浅瀬には,日本では想像できないほど魚の姿が少ないことに驚いた。この海にはアザラシやラッコも多く,沖には「ジャイアントケルプ」(オオウオモ)と呼ばれる巨大な海藻の森が広がっており,豊かな自然があるはずなのだが,日本とはかなり雰囲気が異なるようだ。
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筆者の場合,上記の理由で「夏」と「釣り」の記憶は抱き合わせになっているのだが,そんな釣りについて,最近,次々に開催されたデジタルイベントに伴って筆者のもとに送られてくるリリースの中に,釣りをテーマにしたゲームの情報が増えてきたような気が,なんとなくするのだ。
釣りゲームといえば,ガラケー時代に大きな話題になったGREEのソーシャルゲーム「釣り☆スタ」(2007年)や,バンダイナムコゲームス(現バンダイナムコエンターテインメント)のアーケードゲーム「釣りスピリッツ」(2012年)といった人気作があるとはいえ,全体の中で見ればニッチなジャンルであることは間違いないだろう。下準備から釣った魚をさばくまで,トータルな釣り体験をゲーム化しづらかったり,獲物がかかったときの手応えや盛り上がりを表現しづらかったりするのが,広範な人気を獲得しにくい理由ではないかと筆者は考えるが,釣り人口がかなり大きいであろうことを考えると,残念な話だ。
とはいえ,ニッチなジャンルだからこそ挑戦してみたいというゲーム開発者もいる。実際,2018年にリリースされた漁業シミュレーション「Fishing: Barents Sea」は日本語化されるほど注目され,PC版のほか,Nintendo Switch版やPlayStation 4版なども発売されているので,ツボにハマればそれなりに食い付かれることは確かなのだ。
というわけで今週は,最近発表された釣りゲームや,プレイ可能な欧米産釣りゲームを紹介してみたい。
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■Ultimate Fishing Simulator
開発元:Bit Golem
発売元:Ultimate Games S.A.
公式サイト:https://www.facebook.com/UltimateGamesSA
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「Ultimate Fishing Simulator」は,釣りゲームファンにおなじみのパブリッシャである,ポーランドのUltimate Gamesが2018年に発売したタイトル。日本語版Steamで見るとゲームタイトルが「究極の釣りシミュレータ」と表示されるなど,日本語にも対応しており,「究極」を謳うだけあって,ルアー釣り,ウキ釣り ,ボトムフィッシング,アイスフィッシングなど,さまざまな釣りのテクニックが楽しめる。リアルに表現された世界中の釣り場で,釣り糸を垂らしてみたい。
この2年のうちに,VRに対応するDLCや,富士山や鳥居をバックに,コイ,ウナギ,ニジマス,ライギョなどが狙える「Japan DLC」などが発売されており,メーカーのやる気が高評価だ。イギリスのルアーメーカー「Sakura」との契約を発表するなど,今後さらに発展していくのだろうと思っていたところ,最近,「Ultimate Fishing Simulator 2」がアナウンスされた。
■Deadliest Catch: The Game
開発元:Ultimate Games
発売元:Ultimate Games
公式サイト:https://deadliestcatchgame.com/
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「Deadliest Catch: The Game」は,ディスカバリーチャンネルで放映されている「ベーリング海の一攫千金」を正式ライセンスした最新カニ漁ゲームで,残念ながら日本語化はされていない。プレイヤーは,「蟹工船」のイメージとはほど遠い,高度に機械化された最新鋭のカニ漁船でベーリング海に乗り出し,冬の荒れた海にカゴを投げ入れたり引き揚げたりするほか,乗組員のパフォーマンスを高めるためのマネジメント業務などを行っていく。
気象や波の変化など,環境面のシミュレーション性が高い作品だが,注目すべきは,カニの詳細な3Dモデルだろう。プレイヤーはアラスカ州の法律に基いてカニ漁を行うため,水揚げしたカニは一匹ずつサイズや雄雌のチェックを行い,メスやサイズの小さいカニは海に返さなければならない。つまり,壮大で危険な海洋を舞台に,地道なカニの確認作業を繰り返すというシビアなゲームなのだ。
■Russian Fishing 4
開発元:Russian Fishing
発売元:Russian Fishing
公式サイト:https://rf4game.com/
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タイトルのとおり,ロシアの田舎町を舞台に釣りを楽しむ「Russian Fishing 4」。マップには川や池など11か所の釣りスポットが用意されており,80種類におよぶロシアの在来淡水魚を釣り上げられるという。時間帯や気象によって魚の行動が変化するほか,釣り道具が壊れることもあるなど,シミュレーション性はきわめて高い。ロシアにはどんな魚がいるのか,その魚は,どんな性格で,どんなテクニックを使えば食いついてくるのかといったことを,自分のペースでのんびり学べる,まさに,「ロシア人によるロシア人のための釣りゲーム」といったところ。
“4”なのに,過去作の情報がまったくないのが割と不思議だが,公式サイトやSteamでは頻繁にアップデートが行われており,発表されるニュースも多く,さらに日本語を含む13言語に対応するという力の入れようだ。
アーリーアクセス版として公開されて約2年が経過する作品で,プレイは無料でできるが,ヒットしやすくなったり,釣り道具が自動で修理されたりするアイテムが販売されている。
■Kaiju Fishing
開発元:Mutant Game Studios
発売元:Mutant Game Studios
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「Kaiju Fishing」は,今回紹介した釣りゲームの中では唯一,ファンタジー要素を持つ作品で,まさに「怪獣」と呼ぶにふさわしい巨大な海のモンスター達を釣り上げるために旅を続けるというRPGだ。海の環境バランスが乱れたため,古代から海底に生息する巨大クリーチャーが海上に出現し,王国の漁村が大きな被害を受けてしまった。そのため主人公の女性釣り師ルナが,ペットの赤ちゃんドラゴンと一緒に釣りの旅に出るというストーリーが用意されている。
どうやって釣り上げるのか想像もできないほどの巨大モンスターが登場するとのことで,大物釣りが好きな釣りファンはワクワクできるだろう。Steam Game Festival(関連記事)に合わせてライブストリーミングでゲームの紹介が行われる予定だったが,何らかの技術的問題に悩まされているようで,Steamストアページで公開されたデモも,本稿の執筆時点ではプレイアブルではなかった。
現時点では「2021年中のリリース」を目指しているが,開発チーム内の最新パッチのナンバリングは「0.0.3.2」とのことなので,完成までまだかなり時間がかかりそうな雰囲気も漂っている。
■The Catch: Carp & Coarse
開発元:Dovetail Games
発売元:Dovetail Games
公式サイト:https://live.dovetailgames.com/live/the-catch
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鉄道シミュレータや,フライトシミュレータの追加機体などで知られるDovetail Gamesの最新作が,6月30日に発売された「The Catch: Carp & Coarse」だ。
“Coarse”とは,水底で生活するナマズやウナギ,コイ科の生き物のことで,本作はそんなボトムフィッシングにフォーカスした釣りゲームになっている。スコットランドやマレーシアなど,5つのロケーションに35種類の魚が用意されているほか,「レジェンダリー」と呼ばれる125匹の巨大な魚や,「モンスターボス」と呼ばれる11匹のヌシも登場するという。
風やボートの波によって水流が変化するというリアルな表現も特徴的で,20のメーカーのライセンスを取得した100種類以上の釣り道具をうまく使いこなして,それらの魚を1匹1匹釣り上げてみよう。「Fishing League」というオンライントーナメントも,開催される予定だという。
著者紹介:奥谷海人
4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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July 05, 2020 at 10:00PM
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