海釣り転落注意コロナ禍で人気石川県内昨年の２倍 - 中日新聞

釣り人であふれる立ち入り禁止の防波堤＝金沢市大野町で

金沢海保「安全な場所、装備大事」

　新型コロナウイルス禍で釣りをする人が増えている。海は開放感がある上、他人との距離をとれば、感染リスクを避けることができるためとみられる。ただ、防波堤などで足を滑らせたり、足を踏み外して海に落ちてしまう人も。石川県内では今年になって昨年の二倍となる六件起きており、金沢海上保安部は注意を呼びかけている。（高橋雪花）

　良く晴れた六日の日曜日。金沢市大野町の海辺には、釣りを楽しむ多くの人の姿があった。富山市の男性会社員（３０）は「初心者っぽい人が増えた。集まって釣りをしているため、さおを振った時にぶつかって海に落ちるんじゃないかとヒヤヒヤした」と話した。

　「休業要請の期間が明けた五月ごろからお客さんが増えて忙しくなった。初心者が増えている」と言うのは、金沢市の釣り具店長。富山市内の釣り具店員も「六月ぐらいから、お客さんが昨年と比べて一・四倍くらい増えた印象」と話す。

　石川、富山両県内の海上保安部によると、石川県内で釣り中に防波堤などから海へ転落したのは、今年に入り六人。昨年は三人だった。地域別では加賀市から志賀町をエリアとする金沢海上保安部管内が多く五人。うち一人は夜に防波堤から落ちたとみられ、死亡した。二人は行方不明。富山県は四人で、昨年の一人から増えた。このうち死者は一人で、やはり夜間に防波堤から落ちたとみられる。

　立ち入り禁止区域での事故が目立つ。金沢海保の土田康二交通課長は「まずは安全な場所で釣りをしてほしい」と訴える。夜間の転落事故も多く、転落の発見が遅れないよう複数人での行動を促す。「波がある時には無理せず早めに切り上げて。ライフジャケットや滑らない靴など安全な装備で出掛けることも大事」と強調する。

　十二月に入っても釣り人の姿が見られ「冬の海に落ちると低体温症になり、体が動かず泳げなくなる」とリスクを指摘する。金沢海保は転落の増加を受けて釣り場の巡回を強化。今後、金沢市内の釣り具店で安全への注意を呼びかける放送を流すことも予定している。

　海に転落した人を見かけた場合の通報は、一一九番または一一八番へ。