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<歌舞伎評 矢内賢二>玉三郎の絶妙なしゃべり芸 歌舞伎座「六月大歌舞伎」など - 東京新聞

 歌舞伎座の第一部「車引(くるまびき)」、坂東巳之助の梅王丸は荒削りながら役者ぶりが上がって大きく見える。市川猿之助の時平(しへい)は公家悪らしい妖気が漂っておもしろい。中村壱太郎(かずたろう)の桜丸は上方式で朱鷺(とき)色の襦袢(じゅばん)が鮮やかに映える。

 「猪八戒(ちょはっかい)」はせりふをすべて竹本が語る演出で、猿之助の猪八戒と竹本葵太夫(あおいだゆう)のイキが合って楽しい。市川猿弥の霊感大王、尾上右近の孫悟空、市川青虎の沙悟浄ほかで、サービス満点の大立ち廻(まわ)り。

「信康」の(左から)市川染五郎、松本白鸚 ©松竹

「信康」の(左から)市川染五郎、松本白鸚 ©松竹

 第二部「信康」で徳川信康を演じる市川染五郎は、怜悧(れいり)さや情熱よりも家臣への情の濃(こま)やかさが印象的。松本白鸚(はくおう)の家康、中村魁春(かいしゅん)の築山御前が舞台をぐっと大きくする。第二部は他に中村梅玉、中村雀右衛門らの「勢獅子(きおいじし)」。中村鷹之資(たかのすけ)のキリリと引き締まった所作に目がいく。

 第三部は「ふるあめりかに袖はぬらさじ」。坂東玉三郎の当たり役、芸者お園が見もので、絵から抜け出たような美しさはもちろん、間とイキの良さで膨大なせりふを操るしゃべりの芸が絶妙。中村鴈治郎(がんじろう)の岩亀楼(がんきろう)主人、中村福之助の通辞藤吉。遊女亀遊(きゆう)の河合雪之丞、攘夷(じょうい)党志士の喜多村緑郎、田口守ら、新派から多数の出演で、明治維新間近の雰囲気を醸し出す。二十七日(二十日は休演)まで。

「ふるあめりかに袖はぬらさじ」の(左から)河合雪之丞、坂東玉三郎 ©松竹

「ふるあめりかに袖はぬらさじ」の(左から)河合雪之丞、坂東玉三郎 ©松竹

 国立劇場の歌舞伎鑑賞教室「毛谷村(けやむら)」は中村又五郎の六助が好演で、だまされたことを知っての怒りが鮮烈。片岡孝太郎のお園、上村吉弥のお幸(こう)、中村歌昇の微塵弾正(みじんだんじょう)をはじめ、皆せりふが明瞭丁寧で客席によく伝わっている。前に解説「歌舞伎のみかた」と「杉坂墓所の場」が付く。二十一日(十六日は休演)まで。 (歌舞伎研究家)

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