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暗闇の海、「助けて」響く声…漂流する釣り客のズボンつかんで引き上げ - 読売新聞

 暗闇の海に「助けてくれ」という釣り客らの声が響いた。鹿島港(茨城県鹿嶋市、神栖市)に近い海上で28日未明、遊漁船「第5不動丸」と貨物船「はやと」が衝突し、12人が死傷した事故。海に投げ出された釣り客らを救助した別の遊漁船関係者らは「この仕事を14年やっているが、こんな事故に遭遇するのは初めて」と表情をこわばらせた。

 「普段とは異なる航路にいたため、おかしいなと思った」。救助にあたった遊漁船「第3幸栄丸」船長の荒原康宏さん(34)は午前5時30分頃、貨物船を発見して違和感を持った。「救助をお願いします」。貨物船の方から声が聞こえた。

 辺りは暗く、視界は悪い。「助けてくれ」という声が聞こえ、ライトで海面を照らすと、ライフジャケットを着た男性2人が漂っていた。第5不動丸は当時、転覆して逆さまになった状態。男性1人も海面に浮かんだ船底の上にいた。

 浮輪を投げて荒原さんの船に助け上げた。3人は寒さで震えていたという。

 鹿島海上保安署によると、事故の通報は午前5時35分頃。第5不動丸には、船長や釣り客10人ら男性12人が乗っていた。衝突で全員が海に落ち、東京都の釣り客(46)が死亡。11人が重軽傷を負った。

 この日は午前5時以降、多くの遊漁船が鹿島港を出港しており、救助活動に加わった。「人が落ちているので助けてくれ」。遊漁船「第12幸栄丸」船長の椎木誠さん(43)と、遊漁船「第7幸栄丸」船長の梅林将人さん(37)は、荒原さんから無線を受けて事故現場に到着した。椎木さんは、「おーい」「助けて」と叫ぶ数人を発見。第5不動丸の船長と釣り客の計2人を助け出した。釣り客の1人は「足が折れている」と話した。椎木さんは「我慢してね」と声をかけ、ズボンをつかんで引き上げたという。

 椎木さんは救助後、船長にも声をかけた。船長はショックのせいか声が出ず、釣り客の人数を話せる程度だったという。

 一方の梅林さんは、クーラーボックスをつかんで海面に浮かぶ男性を見つけ、浮輪を投げた。20年近く仕事をしてきたが、浮輪を投げるのは初めてだった。

 浮輪に付けたロープを引っ張りあげる際、自分の船の釣り客にも手伝ってもらった。梅林さんは「映画の世界のようだった。暗くて何も見えなくておっかなかった」と振り返った。

 第5不動丸は事故前、鹿島港を出てタコ釣りのポイントに向かっていた。鹿島海上保安署は、鹿島港の南防波堤から北西に500~600メートルの水域で、転覆した第5不動丸を発見した。貨物船は28日、鹿島港に入る予定だった。

 第5不動丸の待合所は、鹿嶋市新浜の鹿島港内の船だまりにある。事故後は、従業員や鹿島灘漁協の関係者が慌ただしく出入りしていた。鹿島海上保安署の職員も訪れ、関係者から事故状況を聞き取るなどした。

 「普段より入港する貨物船が多かった。貨物船をかわしながら、釣りのポイントを目指していた」。第5不動丸を運航する「鹿島豊栄丸」の中川博文社長(48)はこう説明し、「暗い時間帯だったので目視で貨物船が見えていなかった可能性はある。遺族や負傷者に誠心誠意対応したい」と話した。

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November 29, 2020 at 11:12AM
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