大ヒットした「釣りキチ三平」など自然と人の関わりを描いた漫画家の矢口高雄(やぐちたかお)(本名高橋高雄(たかはしたかお))さんが二十日、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。八十一歳。秋田県出身。葬儀は近親者で行った。喪主は妻勝美(かつみ)さん。後日、しのぶ会を開く予定。
秋田県の高校を卒業、銀行員として働いた後、漫画家へ転身し、一九七三年に「週刊少年マガジン」で「釣りキチ三平」の連載を開始。大自然の中で生きる少年、三平三平(みひらさんぺい)が釣り名人として活躍する物語は、釣りブームの中で人気を呼んだ。十年間連載され、テレビアニメや実写映画になった。
東北の自然と人に題材を得た他の作品も相次いで評判となり、幻のヘビ伝説を取り上げた「幻の怪蛇バチヘビ」はツチノコブームを起こした。クマの狩猟をなりわいとする人々を主人公にした「マタギ」は、日本漫画家協会賞大賞を受賞した。
エッセーも手掛け、「ボクの学校は山と川」の一節は学校の教科書にも掲載された。故郷の秋田県で九五年に開館した、横手市増田まんが美術館の名誉館長を務めた。
死去を受け、漫画家ちばてつやさんは「日本の美しい山や川、魚たちを描かせたら右に出るものナシ」と功績をたたえた。矢口さんの次女野呂かおるさんは公式ツイッターで「今年五月に膵臓がんが見つかり、約半年病気と闘っていました」と明かした。
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