西へ東へ、海へ川へと旅して釣りする太公望たちの奮闘記です。魚との知恵比べ、釣った魚で一杯……。目的は人それぞれながら、闘いの後の心地よい疲労と旅情は格別。今回は、釣りライターの安田明彦さんが、本州最南端、和歌山県串本町の紀伊大島で、小舟(カセ)を使った五目釣りに挑戦! 狙いはグレ(メジナ)ですが、釣れたのはなんと……。
民謡「串本節」や近大マグロの島
和歌山県の串本町と聞くと、関西に住む年配者(自分も含めますが)は、民謡「串本節」を思い浮かべるものです。
♪ここは串本 向かいは大島 仲をとりもつ巡航船♪
釣り師にとって、ここで歌われる紀伊大島(釣り師はたいてい串本大島と呼ぶ)は、遠くて良く釣れる釣りの聖地です。巡航船は、1999年に完成した「くしもと大橋」の完成とともに廃止され、高速道の整備とともに行きやすくなったとはいえ、いまも魚は豊富で、魅力たっぷりの釣り場です。
橋の完成までは、串本の渡船や、釣り船などは、JR串本駅に近い港まで迎えに来てくれたものです。昭和30~50年代はエサ屋も数軒あり、食堂や喫茶店も深夜まで開いていて、釣り人を迎えてくれたものでした。
紀伊大島の内湾は波も穏やかで、水深もあり、養殖業が盛んです。今ではブランドとなった近大(近畿大学)マグロも串本で生まれ育つのです。
本命はグレ、小舟「カセ」からの釣り
今回の釣りは、たくさんある養殖イケスのヘリに、小舟(カセ)をかけての釣りです。グレを本命とし、釣れてくるのは何でもという五目釣りでもあります。最近はイサギ(イサキ)が良く釣れ出したとのこと。かれこれ10数年ぶりに訪れる串本のカセ。昔はマダイやイシダイやハマチやイトヨリやアオリイカなどなど、おいしい多魚種が釣れるので行くのが楽しみでした。
以前は狙わなかったグレが今回主役なのは、釣れるサイズが40センチオーバーが主で50センチ級も釣れると、大阪市の服部元和さんから聞いたからです。その服部さんと一緒に出かけたのが10月22日。ここのグレは、年中脂が乗っているそうです。マダイなどの養殖にまくエサのおこぼれにあずかっているからなのですね。
エサはアオイソメで狙うという服部さん。狙いはポイント「浅海」(せんかい)のカセ。円形のマグロ養殖のイケスとイカダイケスとの間の狭い場所で釣る予定でしたが、強風でカセは撤去されてしまい、定番の南のカセに。
カセの片方はイカダにくくってあるので、東側のみが釣り場。最高のポイントはカセ先端といいます。イカダを固定するロープにグレがついているのだと。そのグレの数たるや、多いときには数百単位で目視できるそうですが、この日は夜が明けたら透明度が低すぎて見えませんでした。
釣り場へ向かう親船に乗るときに、マキエの硬いペレットとサシエの軟らかいペレットをもらいます。釣り方はウキ釣り。しかも棒ウキです。アタリが繊細だというのです。竿(さお)は2号相当の磯竿4メートルクラスで、道糸、ハリスは3号。
服部さんはマキエをまき、アオイソメを刺してウキ下4ヒロからスタートしました。すると、ウキ下7ヒロでエサが取られだしたという。でも、アタリだけでハリには乗りません。磯のグレと違い、潮の流れが緩やかでフワフワ泳いでいるだけなので、よほどのことがないと活性が低いままの釣りになるそうです。
そう聞いて小難しい釣りになるなと思ったのですが、私も潮の流れを見て足元にマキエを落とすと、釣りだしてすぐにウキに反応が。というのも、私はウキ下7ヒロからのスタートで、「いいとこ取り」をしたのです。でも合わない。反応はエサ取りか、それとも本命のグレなのか、はたまた、違う魚種なのか……。とにかく1尾仕留めなければ。
意外で、うれしいゲストが釣れた
棒ウキのトップがスポッと消し込まれ、竿が「満月」に。ギュギュギュギュ、ギューー。何だこの強い引きは。魚の正体がわからないまま慎重にやり取りすると、銀色の魚が。
「ウンッ? なんやこの魚は??」
まったく想像していなかった、高級魚シマアジの若魚、30センチクラスです。いやー、1尾目からシマアジとは、グレ狙いと言いつつも、うれしいゲストですね。
服部さんもシマアジを釣り上げます。「グレの写真も撮らせてくださいね」と声をかけ、弱いプレッシャーをかけます(笑)。
私は潮下なのか、マアジにシマアジ、アイゴまで追加したところで、正体のわからない大物がかかりました。左側にあるマグロイケスのロープ目指して泳ごうとするので、阻止するために竿を右に倒し耐えましたが、3度、4度と道糸を出され、プツン!
何かに擦られたとみられる傷が道糸に10メートルほど残っていました。止めきれない大物。悔しい思いはあるものの、底知れぬパワーを持つ魚との出会いを楽しめました。おそらくコロダイやハマフエフキの大型だったのでしょう。
浅海へ移動し、ノマセ釣りをするも……
風も収まり、浅海の様子が気になる服部さん。様子を見に来た船長と相談し、回収したカセを引き連れて移動します。
「カセ、イカダイケス、マグロイケスとの間にある狭い場所がポイントです」と服部さん。そこは服部さんに任せ、私は西側を狙いますが、来るのはエサ取りの小アジ。
ならばと仕掛けを変え、生きた小魚をエサにするノマセ仕様に。これだと、青物やヒラメがいたら、一発で食ってくるはずです。待てばアオリイカも乗ってくるかもと期待してみたものの、狙いはすべてはずれ、元のウキ釣りに。
すると、スパッとウキが消し込まれ、細長い魚体が。ハマチか?と思いましたが、タモ入れしてもらうと、なんとなんとこれまた高級魚のヒラマサでした。
「今日は、普段釣れない魚ばかりが釣れるなー」と服部さん。潮が悪いんでしょうね、と納竿時間ぎりぎりの午後4時半まで粘り、最後に服部さんがノトイスズミを仕留めて竿を納めました。
私の釣果はシマアジ、ヒラマサといった高級魚にくわえ、マアジやアイゴ、リリースしたマダイの若魚チャリコと、五目釣りが楽しめたのでした。
フィッシング隼
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PROFILE
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釣り大好きライター陣
安田明彦、猪俣博史、西田健作、石田知之、木村俊一
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安田明彦
釣りライター
1959年大阪市生まれ。父親の影響で子供のときから釣りが大好き。大学卒業後、釣り週刊誌の記者、テレビの釣り番組解説者などを務め、「やっさん」の愛称で親しまれる。あらゆる釣りを経験するが、近年は釣って楽しく、食べてもおいしい魚だけを求めて行くことが多い。釣り好き、魚好きが高じて、大阪市内で居酒屋「旬魚旬菜 つり宿」を営んでいる。
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November 10, 2020 at 05:09AM
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