25日の国連総会でビデオ放映された菅首相の演説(国連ウェブTVから)=共同
菅義偉首相は25日(日本時間26日)に米ニューヨークで開いた国連総会の一般討論演説で、新型コロナウイルスの克服に向けた日本の国際貢献策を表明した。医療・保健分野での1700億円超の対外支援のほか、2年間で途上国経済を支える最大5000億円の円借款について説明した。
事前に収録した演説のビデオ映像を配信した。首相として国際会議の場で外交に関する見解を初めて示した。
新型コロナは国家の枠を超えて一人ひとりの命を守る「人間の安全保障」の危機だと主張した。多国間主義で協力を深める契機となるよう連帯を呼びかけた。
治療薬やワクチンを途上国を含む各国に公平に流通させるための全面的な支援を言明した。背景に米国や欧州各国などがワクチン確保に動き、争奪戦の様相を呈していることへの懸念がある。
日本の国際貢献の取り組みを説いた。医療従事者への技術支援など医療・保健分野で1700億円超の対外支援を実施していると述べた。
「打撃を受けた経済への対策が不可欠だ」と唱えた。途上国経済を支えるため、2020年度から2年間を想定した最大5000億円の緊急支援円借款を実施すると強調した。
「困難に直面した時こそイノベーションが生まれる。日本自身も喫緊の課題としてデジタル化に取り組む」と語った。
新型コロナ対応で中国寄りとの批判がある世界保健機関(WHO)に関し、検証や改革への協力を訴えた。紛争処理制度が機能不全に陥った世界貿易機関(WTO)改革や、各国との経済連携協定を進めると伝えた。
2021年夏に延期した東京五輪・パラリンピック開催への決意を力説した。「人類が疫病に打ち勝った証しとして開催する決意だ」と話した。
北朝鮮による日本人拉致問題の解決へ「条件をつけずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会う用意がある」と明言した。安倍晋三前首相が掲げた「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進に言及し、安倍政権の外交姿勢を踏襲した。
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