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回顧2019>(3)プロスポーツ パワハラ続出 常識外れの「熱血指導」今も:スポーツ(TOKYO Web) - 東京新聞

記者会見で謝罪するJ1湘南の曹貴裁監督=10月4日、神奈川県平塚市で

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 「まさか」なのか、「やっぱり」なのか。昨年のアメリカンフットボールやレスリングなどに続き、今年もパワハラや暴力の問題がスポーツ界を揺るがした。しかも今度はプロの世界で。8月にはバスケットボールBリーグ、10月はサッカーJリーグで、監督が選手らへのパワハラ行為があったとして、引責辞任した。

 バスケットボールB2香川では監督が怒りにまかせて選手に跳び蹴りを食らわせ、サッカーJ1湘南では、監督が選手やスタッフの人格を傷つける暴言を浴びせ精神的に追い込んだ。多くの子どもたちに夢を与えるはずのプロリーグで、こうしたパワハラが調査で認定された。とくに発足から25年が過ぎて成熟しつつあるJリーグで問題が起きたショックは大きかった。

 湘南を率いて8年目の曹貴裁(チョウ・キジェ)前監督は熱血漢で有名だった。予算規模が小さいクラブを昨季はYBCルヴァン・カップで優勝に導いた。試合のたびに記者会見で選手名を挙げて熱っぽくプレーをたたえる姿を何度も目にした。選手を言葉で奮い立たせる。それが曹氏への印象だった。

 「指導には愛情があった」「監督のおかげで成長できた」。問題発覚後も一部の選手たちからは曹氏を擁護する声が聞こえた。「選手を成長させようという思いだった」と無念さをにじませて釈明した曹氏の言葉に、うそはなかったと信じる。しかし、そうは受け止められなかった人もいたからこそ問題は起きた。

 以前、曹氏はスポーツ界のパワハラについて本紙の取材に「そもそも(指導者、選手が)お互いにちゃんと人間関係をつくろうという姿勢があったか」と指摘していた。今、自身の発言をどういう思いで受け止めるのだろうか。

 指導者、選手ともに「個人事業主」といえるプロスポーツでは、パワハラの線引きが曖昧になりがちだ。しかし、社会に目を向ければ、上司(指導者)は受け止める側の部下(選手)への配慮が求められるとの考えが一般的となっている。世間の常識と乖離(かいり)しては、多くの人の感動や共感は得られない。

 プロ野球では、広島の緒方監督(当時)が怠慢プレーをした選手に複数回、平手打ちしたことが7月に発覚したが、球団は厳重注意にとどめ、日本プロ野球機構のおとがめもなかった。パワハラや暴力に対しての意識には、ばらつきがある。JリーグとBリーグで起きた今回の問題を対岸の火事とせず、スポーツ界全体で取り組む契機としてほしい。 (唐沢裕亮)

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December 19, 2019 at 05:48AM
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