ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが、欧州の気候や風土に育まれ、長く愛されてきた食べ物や飲み物を紹介する連載「欧州おいしい旅」。今回はドイツのお菓子「雪の玉(シュネーバレン)」です。ロマンチック街道にあるローテンブルクの名物で、何と断食食としても知られているというのです。
ロマンチック街道にあるローテンブルクの名物
ドイツというと、ロマンチック街道をイメージする方も多いかもしれません。小さな村や町を結ぶ街道で、知名度が高いローテンブルクは人口1万1千人余りの小さな町です。ローテンブルク・オプ・デア・タウバーが正式名称ですが、ローテンブルクと呼ばれて親しまれています。今回は、この街の「雪の玉/シュネーバレン(Schneeballen)」というお菓子を紹介します。
雪の玉は、ドイツ語で単数形はSchneeball(シュネーバル)、複数形はSchneebälle(シュネーベレ)ですが、ローテンブルクなどのフランケン地方では複数形でSchneeballen(シュネーバレン)と言っています。
7月初めの晴れた日。コロナ前の、世界各国の観光客でにぎわっていたローテンブルクです。
フォトジェニックな街並みは、どこから撮影しても絵になります。
シュネーバレンは、直径10センチほどの球体です。こちらはパウダーシュガーを振りかけたオーソドックスなスタイル。少なくとも300年以上前から、ローテンブルク、ディンケルスビュール、フォイヒトヴァンゲンなど現在のフランケン地方や、バーデン=ヴュルテンベルク州のあたり、またオーストリアでも知られていた歴史的なお菓子です。
主な材料は、小麦粉、卵、砂糖、バター、生クリームで、香り付けに果物から作った蒸留酒(シュナップス)を加えることもあります。この生地を細長く切って形作り、金属の型に入れて回転させながら油で揚げると球体になるそうです。
雪の玉は、伝統的には動物の油脂で揚げたものでしたが、近年は植物油で揚げています。
元ローテンブルク観光局長のヨハン・ケンプターさんは、「昔は、お誕生日や結婚式など、家族で祝う機会に食べるお菓子でした。今ほど種類はなくて、パウダーシュガーやシナモンを振りかけたものだけでしたが、子供の頃は楽しみにしていたお菓子です」と話します。
近年は、中にチョコレートやナッツ、マルチパンを入れるなど様々なバリエーションの雪の玉があります。1週間以上日持ちがするので、おみやげに持ち帰ることができ、観光客に人気とか。
ハイカロリーゆえ一つで満腹、断食食にも
カリッとした歯触りで香ばしく、薄甘いのでパリパリと食べてしまいますが、かなりの油分を含んでいてカロリーが高いのを実感します。私は午後に一つ食べましたら、夜まで満腹でした。カロリーがある、しかし植物性の食べ物であるために、雪の玉は断食期間に好んで食べられるお菓子でもありました。
ちなみに、カトリックの断食期間は復活祭前の約40日間で、修道院はもちろん、非常に敬虔(けいけん)な信者の間では今も守られています。
「断食とは何も食べないこと」だと思われるかもしれませんが、ドイツには「断食食(Fastenspeisen, Fastenessen)」があります! 断食食とは、断食の時でも許されている食べ物で、その内容はキリスト教の歴史の中で何度も変更され、肉類は全面禁止、魚は日によっては食べてもよい、などと複雑に決められました。
最近は砂糖やお菓子類を断食中には避ける傾向があるそうですが、伝統的な断食食は、この雪の玉やシュトゥルーデルなどの焼き菓子、クネーデルを添えたキノコや野菜の料理、ビール(カロリーの高いシュタルクビア)などが挙げられます。
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